
タイのガソスタカフェが想像以上だった話
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タイ・ラヨーン、Shellのガソリンスタンドの中にカフェがある
妻がタイ人なので、2022年にラヨーン(Rayong)で一緒に暮らしていました。ラヨーンはバンコク(Bangkok)から車で2〜3時間ほどの海沿いの街で、生活するには車が欠かせません。スーパーに行くにも、市場に行くにも、どこへ行くにも車。そうなると自然とShellのガソリンスタンドに寄る機会が増えるんですよね。給油して、トイレに行って、コンビニで水を買って。そんなとき、スタンドの片隅にカフェがあるのを見つけました。delicafé(Delicafe)というお店です。
日本だとガソリンスタンドの中にカフェが併設されているのって、あまり見かけないですよね。最初は正直ちょっと驚きました。でもタイではこれがごく当たり前の光景なんです。ShellだけでなくPTTにはCafé Amazon(Cafe Amazon)があるし、BangchakにはInthanin(インタニン)という自社カフェブランドがあります。どのガソリンスタンドにもカフェが1つは入っている構造です。タイは高速道路よりも国道のほうがはるかに発達しているので、日本の高速SAのような概念とは違って、地方の国道沿いにあるガソリンスタンドがそのまま休憩所の役割を果たしています。給油して、コーヒーを1杯買って、また走り出す。そんなスタイルです。

タイの国道でよく見かけるShellガソリンスタンドの風景です。黄色い貝殻ロゴが見えたら、その中にカフェがあると思ってもらえればOKです。
delicaféの外観、ガソスタカフェにしては雰囲気がありすぎる

こちらがdelicaféの外観なんですが、ガソリンスタンドのカフェと聞いて殺風景な建物を想像していたなら、ちょっとびっくりするかもしれません。入口の前に小さな池があって、緑の植物がきれいに手入れされていて、まるで地元のおしゃれカフェのような佇まいでした。タイもカフェ文化がかなり発展している国です。日本は個人経営のカフェでも規模が大きかったり、大手チェーンがどこにでもあったりしますよね。タイはそこまでのスケール感ではないんですが、狭い空間をセンスよくまとめる腕前は本当に見事です。道沿いのボロっとした建物だと思って入ったら、中はまったく別世界だったというカフェもざらにあります。delicaféもガソリンスタンドという限られたスペースを、なかなかいい雰囲気に仕上げているなと感じました。

入口前の池には噴水もありました。ガソリンスタンドの敷地内でこのレベルの造園はなかなか印象的でしたが、正直これはこの店舗がとくに力を入れて作り込まれた例かもしれません。delicaféは店舗ごとに規模も形態もバラバラなんです。広い独立した建物タイプもあれば、コンビニの隣にくっついた小さなカウンタータイプもあるので、他の店舗で同じ雰囲気を期待するとがっかりする可能性はあります。
入口から漂う「ここ、ただのスタンドじゃない」感

入口のドアが丸い窓のついた木製で、ガソリンスタンドのカフェというよりも近所のブランチカフェの入口みたいな印象でした。足元にはWELCOMEマットが敷かれていて、ドアの横には大きなガラス窓があるので中が丸見え。外にも小さなテーブルがありましたが、ラヨーンの真昼の暑さの中で外に座る気にはとてもなれませんでした。
カウンターとメニュー、タイのカフェの価格とボリューム

カウンターの後ろにメニューボードが掲げてあり、ショーケースの中にはベーカリーや軽食が並んでいます。白いタイル壁に黒いメニューボードの組み合わせで、すっきりとした印象。カウンターの隅にTIP BOXが置いてあるのも目に入りました。タイのカフェは全体的に日本よりドリンクの価格がかなりリーズナブルです。しかも量も明らかに多い。アイスドリンクを頼むと大きなカップに氷までぎっしり詰めて出てくるので、1杯分の値段で2杯飲んでいるような気分になるんですよね。妻とそれぞれ1杯ずつ頼んでもまったくお財布が痛みませんでした。

カウンターの横には個包装のお菓子類も並んでいました。移動中にさっと手に取れるようなラインナップです。

割引やポイント還元の案内も貼ってありました。地元の人たちはこういう特典をしっかりチェックしている様子でしたね。
delicaféの看板、今はShell Caféに変わりつつある

外から見たdelicaféの看板です。この写真は2022年に撮ったものですが、現在はShell Café(Shell Cafe)へのリブランディングが進んでいます。2022年にバンコクで最初のShell Caféがオープンし、その後じわじわと切り替わっている最中なので、今行ったら看板が違う可能性があります。ただ、まだdelicaféの看板がそのまま残っている店舗もかなりあるようです。看板が違うだけで、メニューや運営スタイルはほぼ同じだと思ってもらえれば大丈夫です。
店内の座席と雰囲気


店内はガラス窓が大きくて、外の景色がそのまま飛び込んできます。座席は丸テーブルのエリアと窓際のバーカウンターエリアに分かれていて、バー側に座るとガソリンスタンド側が見下ろせます。席数はそこまで多くなかったんですが、お昼どきでもお客さんがほとんどいなかったので、かえって静かで居心地がよかったです。
タイの伝統お菓子にも出会える

窓際のテーブルにタイの伝統的なお菓子が置いてありました。クルアイムアン(Kluai Muan, กล้วยม้วน/バナナロール)やカノムピア(Kanom Pia, ขนมเปี๊ยะ/緑豆ペストリー)といったものです。これはフランチャイズ本部のメニューではなく、店舗が独自に仕入れて置いているようでした。タイのカフェでは、こうやって地元のお菓子を一緒に売っているケースがちょくちょくあるんですよね。
窓の外の景色、ここがガソスタだということを忘れる瞬間


カフェの中から外を眺めると、池の向こうにガソリンスタンドの風景が広がっています。タイは一年中暑い国なので、外で5分立っているだけで汗が止まりません。ところが面白いもので、日本の夏のほうがむしろ体感的にキツいと感じることがありました。タイは毎日コンスタントに暑い代わりに、日本のように猛暑日がいきなり襲ってくるような感覚がないんですよね。いずれにせよ、エアコンの効いた室内に入ると「生き返った……」というのが最初の感想です。ひんやりした店内で冷たいドリンクを持ちながら、外の木々や噴水をぼんやり眺めていると、ガソリンスタンドにいることを一瞬忘れてしまいます。妻は「ここから出たくない」と言って、コーヒーをもう1杯おかわりしていました。
天井までガラス張り、昼間でも落ち着ける空間


窓際の木製シェルフには瓶に入ったお菓子が並べられていて、天井のほうを見上げるとガラス越しに木の枝が見えます。枝の間に照明が吊るされていて、昼間なのに不思議と落ち着く雰囲気でした。焙煎したコーヒー豆の香りがほんのり漂っていたのも覚えています。ここまで来ると、誰がガソリンスタンドのカフェだと思うでしょうか。
ベーカリーはシンプルなラインナップ

ショーケースにはクロワッサン、ドーナツ、エッグタルト、サンドイッチといった定番のベーカリーと、水やコーラなどの飲み物が入っていました。種類がものすごく豊富というわけではありません。低価格帯のチェーンカフェのベーカリーと似たような印象です。大型ベーカリーカフェのような華やかさはないものの、タイの国道を移動中にさくっと何かつまむにはちょうどいいラインナップでした。
メニューボードは英語併記、外国人でも注文OK

メニューボードがカウンター裏の壁に大きく掲示されています。コーヒー(Coffee)、シグネチャーコーヒー(Signature Coffee)、バブルミルクティー(Bubble Milk Tea)、お茶(Tea)、ミルク/チョコレート(Milk/Chocolate)、スムージー/ソーダ(Smoothie/Soda)とカテゴリごとに整理されていました。タイ語の下に英語が併記されているので、タイ語が読めなくても注文にはまったく困りません。タイは外国人観光客が本当に多い国なので、フランチャイズカフェのメニューボードに英語がないケースはほぼ見たことがないです。
タイのカフェでコーヒーを注文するなら、これだけ覚えておけばOK
ドリンクの写真は撮れませんでした。受け取った瞬間にすぐ飲んでしまったので。私はアメリカーノ、妻はカフェラテを注文しました。ここで一つ知っておいてほしいことがあるのですが、タイのカフェでアメリカーノを頼むと、デフォルトでシロップが入ってくることが多いんです。私は甘いコーヒーが苦手なので、シロップ抜きでと別途伝えました。言わないと甘〜いアメリカーノが出てきます。
ラテも同様です。日本で馴染みのある、エスプレッソにスチームミルクを合わせるあのラテとは違うものが出てくる可能性があります。タイ式のラテはコンデンスミルクが入っていたり、砂糖がデフォルトで加えられていたりするケースがけっこうあるんですよね。タイのコーヒー文化はもともと甘くて濃いめに飲むスタイルなので、他の国で慣れたレシピとはギャップがあります。
タイのカフェでコーヒーを注文するときのコツ
甘くしたくない場合は、タイ語で「マイ・サイ・ナムターン」(Mai Sai Nam Tan, ไม่ใส่น้ำตาล)と言うか、英語で「no sugar, no syrup」とはっきり伝えましょう。これはdelicaféに限った話ではなく、タイのカフェならどこでも同じです。
残念だった点も正直に言うと
タイの屋内店舗は、日本よりもエアコンを明らかに強めに効かせているところが多いです。外で汗だくになってから入ると最初は天国なんですが、少し座っていると寒くなってきます。delicaféもまさにそうでした。薄手の上着を1枚持っていくのがおすすめです。それからトイレはカフェの中にはなく、ガソリンスタンドの共用トイレを使う必要があります。遠くはないんですが、カフェの中からすぐ行ける構造ではありませんでした。
訪問前にチェック
エアコンが強めなので薄手の羽織りを用意しましょう。トイレはカフェ内ではなくガソリンスタンドの共用を利用する形になります。
Shellのガソリンスタンドにあるのはdelicaféだけじゃない
ちなみにShellのガソリンスタンドには、delicafé以外のコーヒーブランドが入っていることもあります。チェンマイ(Chiang Mai)方面にはForty-Nine Coffee Houseという独立系カフェがShellのスタンド内に出店しているところもありますし、ドイチャン(Doi Chaang, ดอยช้าง)といったタイ北部のローカルコーヒーブランドが入っている店舗もあるそうです。スタンドごとに中に入っているカフェが少しずつ違うんですよね。タイ全体で見ると、PTTのCafé Amazonが5,000店舗以上で最大勢力。PunThai Coffee(พันธุ์ไทย)やInthaninもそれぞれ1,000店舗以上を展開しています。Shell Caféはまだ100店舗ほどの規模なのでまだまだ小さいですが、豆の品質にこだわっているブランドだなという印象を受けました。
わざわざ行く場所ではないけど、寄ったら嬉しい場所
delicaféがわざわざ目的地にするほどのカフェかと聞かれたら、正直そこまでではありません。カフェそのものが目的になるタイプのお店ではないです。でも、ラヨーンに暮らしていて、あるいはタイのどこかを車で移動していてShellのガソリンスタンドに立ち寄ったとき、給油だけで去るのがもったいなく感じたら、ぜひ覗いてみてください。エアコンの効いた涼しい店内でリーズナブルなコーヒーを1杯飲みながら、ちょっとひと息つくのにぴったりの場所です。
日本ではなかなか体験できない、タイの国道沿いガソリンスタンドカフェ文化をちらっと覗ける場所ですから。ガソリンの匂いの代わりにコーヒー豆の香りがするスタンドなんて、ラヨーンでの日常がときどき懐かしくなります。
この記事は2022年の訪問時点の情報に基づいています。メニュー構成や価格は現在と異なる場合がありますので、訪問前にご確認ください。